●フランス料理を食す
パリ郊外の港街にやってきた。
ここはまるでおしゃれな熱海だ。
熱海と言ったら海鮮。
フランスの熱海ではムール貝が食べられるらしい。
レストラン街に行くと、
人々がムール貝を貪り食べてた。
ムール貝を前に目を血走らせている人々を見る限り、まずいわけがない。
大きな期待を胸に入店し、いざ注文を。
店員のおじさんが注文をとりにやってきた。
フランス語がわからない私には何を話しているのかさっぱりだったが、
雲行きが怪しくなっていることだけは感じ取れた。
あれれ・・?店先で貝に群がっていた人々は一体・・・
すぐ隣でとんでもない量の貝をほおばっている人々は一体・・・
この状況で私たちの目を誤魔化せるとでも思っているのか・・
どうやらそう思っていたようだった。
どうしても店員のおじさんにムール貝の注文を拒まれたので、
仕方なくなんとかっていうバラエティに富んだ貝類と甲殻類の盛り合わせを注文した。
皿の上にはカニ、エビ、カキ、
そして
タニシみたいな貝が無数に散らばっていた。
目を引くカニ、エビ、カキ、を筆頭に主役たちがすぐに胃袋へと消えていった。
そして、小さなタニシ達が残った。
このちび貝、見た目はタニシだが、食べるとレバーペーストのような味がして癖になる。
しかし人々を虜にさせるムール貝の美味しさは謎に包まれたまま。
フランス料理を攻略するのにはまだまだ時間がかかりそうだ。
■パリとうんことパンツ
さて、無事に新年を迎えた私はスロバキアを立ちパリへやってきた。
流石パリ。
表参道をさらにお洒落にしたような道で、お洒落な人たちがお洒落なお店でお洒落にワインを飲んでいる。
お洒落になれない私は大量の洗濯物を担ぎコインランドリーへ。
流石パリ。ただのコインランドリーでさえもお洒落にみえる。
隣で新聞を読みながら洗濯機が止まるのを待っているただのおじさんでさえお洒落感を漂わせている。
どうにかお洒落に見えないかと片手にスタバを持ってみても、私はちんちくりんのアジア人のままだった。
なかなか減らないスタバのココアをすすっていると一人のパリジャンがやってきた。
パリの街はお洒落だが、
口を開けて見とれて歩いているとうっかり踏んでしまうほど
そこらじゅうに脱糞されている。
洗濯機を過信しているのかな・・?
日本の滅菌文化に染まった私には彼の行動がまったく理解できなかった。
ここで洗濯をしてしまったことに対し、激しい後悔が襲ってきたので
意識をうんこから遠ざけることに集中した。
(後ほどパリに住む友人から聞いたのだが、洗濯機で靴を洗うのは日常の光景らしい。)
乾燥機が止まる頃にはココアが冷めきっていた。
”メルシー”とも言い難いこの状況。
なんとも気まずい空気が流れた。
おじさんがぼそぼそっとなにか言ったが、フランス語なので理解できない。
日本人の私は「あ、すみません・・」と言いたい気持ちでいっぱいだったのに、なぜか
「It's ok」
と言ってしまった。
一体なにが「OK」なのか・・私もおじさんもわからないままコインランドリーをあとにした。
▲命がけの年越し
スロバキアのカウントダウンへ行くことになった。
「ヨーロッパでのカウントダウン・・・」
こんな東欧の片田舎であっても(←失礼)
そう聞くと少しデンジャラスに感じてしまう、ジャパニーズチキンの私。
ここだけの話、出がけに正露丸を服用するほどびびっていた。
※正露丸:胃腸薬
バス停に着くとちらほら人がいたので少し安心するも、
目の前の光景が更に不安を煽った。
私、生きたまま2018年を迎えられるのかな・・・
スロバキアの首都ブラスチラバの中心に到着すると、
「こんなに人が居たんだ…(←失礼)」と思うほど大勢の人たちで溢れかえっていた。
広場に向かうとドンチャンドンチャン音が鳴り響き、人々が踊り狂っていた。
このドンチャン騒ぎの中に入るにはセキリュティーを通る必要があった。
前を歩く友人がなんの疑いもかけられずに通り抜けたので私も後に続いたが、、
きっとこの中の誰よりも危機感を持ってここに来ている私がなぜ疑いをかけられなければならないのか・・・
カウントダウンまで時間があったのでドナウ川も見に行くも、霧でなにも見えず
ブラスチラバ城を探すも、霧で見つからず
「晴れていればきっとこんな景色だっただろうなぁ」と妄想を膨らませた。
2018年の10分前、人々がドナウ川方面へ歩き出した。
私たちもその流れに沿って歩いてくと、
でかいタイマー時計のようなものが仰々しくレーザービームを放ちながら2018年を今か今かと待ちわびていた。
いよいよ私のiphoneが0:00をお知らせした。
しかし目の前の大きなタイマー時計はまだ2017年のままだった。
ほどなくして、ようやく10秒カウントダウンが始まり歓声と共に花火が打ち上げられた。
ドナウ川に集まる人々は1分遅れで2018年を迎えたのだった。
目の前に居た老夫婦がシャンパンを開け、乾杯とキスをかわした。
命がけでここまでやってきて、なんてまぬけな年越しをしてしまったのだろう
そう思いながらも花火を10分ほど見つめた私たちは家路に向かって進んでいた。
人混みに逆らって歩くのでなかなか前に進めず、道の端っこに寄るも・・・
決死の思いで通り抜け、真っ暗な夜道を足早に進み、無事に家にたどり着いた。
朝目が覚めて、生きていることに安堵した。
●そうやすやすと月9のヒロインにはなれない
私はスロバキアのスケート場に来ていた。
ヨーロッパ→スケート→お洒落な休日という安易な思考が私をここへ導いたのだ。
異国のスケートリンクをすいすい滑っている、まるで月9ヒロインのような自分を想像した。
スケート場へ着くと、老若男女で溢れていた。
主に親子連れが多い。
例えるならば、週末のイオンのような光景である。
受付のおばちゃんとおじちゃんに英語が通じず困っていると、
うしろに並んでいたおねえさんが通訳を買って出てくれた。
チケット購入からスケート靴のレンタルまで面倒をみてくれ、
彼女のブロンドヘアーとふくよかな体型も相まってか、まるで女神のようだった。
突如として現れた女神に感謝しつつ、スケート靴に履き替えた。
履き替えている途中、嫌な予感がしていた。
予感はすぐに的中した。
氷の上にすら辿りついていないのに、二足歩行ができない。
そんな私を見て笑っている、
こっちでも笑っている、
子供も笑っている。
いつの間にかスロバキアの笑い者になっていた。
やっとの思いでスケートリンクに辿り着くも、
想像していたものとは遥かにかけ離れた姿がそこにあった。
ひーひー言いながら地道に進んでいると
すぐ隣をちびっこスケーターが私の何十倍もの速さで横切っていった。
■スロバキアで洗礼を受ける
その後、乗り継ぎ先のドバイ空港を汗だくになりながら駆け巡り、
クリスマスのせいかガラ空きの機内で、機内食を配膳してもらえないというフルシカトを受け、
苦難の空旅を終えた私は、デンマークではなくスロバキアに降り立っていた。
またしてもクリスマスのせいで、
街には人の姿がなかった。
バスの中で遭遇するも…
人らしさはなかった。
27日頃になると街はやっと人の気配を取り戻していた。
そんな中、住宅街を歩いていると…
庭先にいた、まるでホグワーツで賢者の石を守ってるような番犬がガチ吠えしてきたのだ。
スロバキア人には歩道を歩くという概念がないらしい。
平穏な住宅街かと思っていたのに、それからは一歩一歩びくびくしながら歩くはめになった。
▲飛行機あるある〜まとめて一挙掲載〜
さて、飛行機が1時間遅れると通告された私だが
運よくエポスカードがゴールドカードに切り替えられていたため
●飛行機あるある〜チェックイン編〜
ようやく出発の日を迎えた。
大量の荷物をなんとか押し込んで
私は万全の搭乗体制でチェックインカウンターへ向かった。
事前にスーツケースの重さを測っていたので
スムーズなチェックインができるだろうと自信があった。
ところがどっこい・・・
「機内に持ち込める手荷物は7kg未満の荷物1個だけとなっております。」
えぇぇぇぇえええええええええええええぇぇぇ
手荷物も計測されるのぉぉぉぉおおおおおおお
こちらの荒れた心情を無視して
受付のおねえさんは淡々とした笑顔で無茶振りをしてきた。
「現在、手荷物が合計で10kgあるので7kgまで減らし、ひとつにまとめてください。」
えぇぇぇぇえええええええええええええぇぇぇ
めんどくせぇぇぇええええええええぇぇえええ
あと3kgどうやって減らせばいいのよぉぉおお
そう声を出して叫びたかったが
このままではきっと飛行機に乗らせてくれないと思い、大人しく従うことにした。
私がチェックインカウンターの前でいそいそとスーツケースを広げようとすると
受付のおねえさんはまたしても淡々とした笑顔でそれを制止した。
おねえさんが指した先はほこりがたまっていそうな場所でした。
私はみすぼらしいほこりのような気持ちで荷造りをはじめた。
ときおり感じる道行く人々の視線は、できる限り無視した。
スーツケースに詰めこめるだけ詰めようと試みるが、、
閉まらない。
最終手段だ。
全部着た。
これから北欧へ行くというのを忘れてしまうほど
暑かった。
ボストンバックの中身は大分減り、
背負っていたリュックをその空いたスペースに押し込んだ。
そして、明らかに着膨れした姿で再びチェックインカウンターへ。
再測定の結果は−1kg。
ぜんぜん減ってない。
しかし、体型が変わった私の姿に見かねたのか
おねえさんは「ご協力ありがとうございました。」とだけ言って、
搭乗チケットを渡してくれた。
やっと飛行機に乗れる・・
これですべての事が済んだと思いきや、
おねえさんが今度は申し訳なさそうに言った。
「飛行機の出発が1時間遅れます。」
えぇぇぇぇえええええええええええええぇぇぇ